コーチングはインタビューにどう役立つ?
コーチングとライティングは様々な意味で、親和性が高いと思っています。
最近ライターの方でコーチングに興味がある、とお話いただくことが増えてきたので、今日はまずインタビューにコーチングをどう活かせるかについて、私なりの解釈をお伝えしたいと思います。
コーチングというと、ペーシングだとかミラーリングだとかの技術をイメージされる方もいらっしゃるかなと思うのですが、
私が一番インタビューにおいて「コーチングやっていて良かった」と思うのは、
「相手には相手の価値観がある」ということを尊重できるようになったこと。
自分の価値観を完全に横にスライドアウトさせて、目の前の方にどれだけ安心してご自身の話をしていただけるか。
これはコーチングセッションにおいても、とても大切な姿勢、基本の在り方です。
聴き手の中に「ジャッジ」があれば、それは相手に伝わるもの。
この会話の落とし所はここ、正解はこれ、というものを持って臨んでしまうと、それも伝わってしまって誘導することになって、予定調和から出ることはありません。
もちろん、インタビューの目的は記事を書くことではあるので、
「取れ高」は必要ですし、媒体として持っていきたい方向性はあります。
でもそれをインタビューの段階で意識してしまったら、あまりいいお話は聴けない。
期待に応えようと無意識に思わせてしまうからだと思います。
とはいえ、記事が書けるだろうかというのはライターとしては心配になるのも当然なので、
私はインタビュー中は「相手の方が話したいこと」に集中できるように、事前にインプットできることは出来る限り調べて頭に入れておくようにしています。
予備知識があるのとないのでは、質問に対する相手のコメントへの理解度は当然違う。
だから余計な確認に時間を取らなくて済むので、こちらも余裕を持って事実より「気持ち」に向き合えるんです。
5%くらいは「今までの話で何文字分くらい書けそうか」は意識しながらも、
残りはすべて相手を「伝える」ことを意識しながら、相手の価値観に敬意を持って聴くことを心がけています。
「なんだか今日はしゃべりすぎちゃった」とか、「話しているうちに気づくことや整理されることがあって、最初予定していた内容からだいぶ変わった気がする」など言ってもらえたら、そのインタビューはたぶん成功。
もちろんそこで終わりじゃなくて、それを原稿にうまく落とし込めるか、編集さんが期待する媒体としての目的に到達させられるかで成功かどうかは決まるんですが、
ライティングは、素材が8割。
その理論でいくと、いいインタビューができたら、ほぼいい記事にできるはず。
また、コーチは出来事を様々な視点から見て、クライアントが目標達成するために必要な考え方や捉え方を提示するのも大切な役割です。
それをインタビューでも活用して、時には相手が言われたことをぐるっと別の角度から捉え直して「こうとも受け取れますか?」と提示してみたり、
必要に応じて相手の言葉をそのまま受け取るのではなく、背景にある感情を想像してみたりと、
意識的にも無意識にもコーチングで大切にしていることを実践しているように思います。
話すことでしか得られない安心感がきっとある。
それをコーチングでもインタビューでも感じていただけたら、
特別な時だけじゃなくて、日々の何気ないコミュニケーションの大切さにも気づいていただけるんじゃないかなと思うのです。