圧倒的実力不足を自覚した時
今朝の朝ドラで主人公の妻、音がオペラの主役に抜擢されたけれど
夫が有名人だから客を呼べるだろうという思惑で推薦されたと知り、
辞退するシーンがありました。
「自分には無理だ」「圧倒的に力がない」
「悔しいけれど実力不足」
そう感じてしまう悔しさ、寂しさ、やるせなさが痛いほどわかります。
私もそう感じてしまったこともあって前職の会社を去り、
先日もひとつの仕事をあきらめました。
卑下するでもなく客観的に、冷静に見て、場違いであるとわかった時。
ちょっとやそっとの努力や勉強や経験で埋められそうもないと思った時、
どう動くべきなのか。
諦めて降りることは、逃げなのか。
しがみつくことは、評価されるべきなのか。
簡単には言えないことですが、
どちらも正解で、どちらも不正解なのかもしれません。
音の場合は、圧倒的な実力を持ち、さらにここまですべてを音楽に捧げて
きっと血のにじむような努力を積み上げてきた共演者に対して、
そのレベルを期待してお金を払って来場してくれるお客様に対して、
長いブランクのある自分が主役では申し訳ないという気持ちがあったのだと思います。
そして彼女の言った、
「私はオーディションに受かることしか考えていなかったけれど、
他の皆さんはその先の先まで見て演じていた」
この視点の差、見ていたものの差を実感して、
自分は去るべきだと潔く感じ、行動に移したのでしょう。
音の場合、自分のプライドや憧れを優先して共演者やお客様を
失望させてはいけないという思いは、きっと正しい判断なのでしょう。
その場合大切なのは、次どうするか。
悔しさややるせなさと折り合いをつけて、
エネルギーの新しい矛先を見つけられるか、
そしてこれまで支えてくれていた周りの人の存在に気付き、
感謝し、改めてその人達のためにも、
また違うステージで頑張ろうと思えることが大切だと思っています。
では私が会社を辞めると判断したことは、正しい判断だったのか?
後悔しているわけではありませんが、正解だったのかと言われると
今でもわかりません。
本当にギャップは埋められなかったのか?
その結論を出せるまでの努力を、もうこれ以上は
無理だというレベルまでやりきれていたのか?
しがみつくことで、自分の中の守りたいものが
壊れることがこわかったのではないのか?
その問いに答えがないからです。
どこまでやっていれば「限界」だったのか?
逃げたと言われても胸を張ってNOと言えるのか?
適応障害と診断されて、ほっとしたのではないのか?
今となってはわからないけれど、
少なくとも白か黒かの2択だけが答えじゃないんだ、ということを
今の私は知っています。
コーチングの世界に足を踏み入れて、圧倒的な差を感じるコーチはたくさんいます。
思考力の差、傾聴力、忍耐力、安定感・・・私にないものを持っている魅力的なコーチは
本当にたくさんいらっしゃる。
でもだからといって「場違いだ」「実力不足で、ここにいてはいけない」と思わないのは、
それでもやりたいから、という一言に尽きるのかな。
きっと私には私の持ち味があって、それを生かせるコーチとしての在り方がきっとあると
思えるからかもしれません。
降りないことが正解、正義だとは思わないけれど、
なりふり構わず、トコトンしがみついてみたい、
自分で「限界だ」と思えるところまで行ってみたいと思える世界に
入ることが出来て、こんなに嬉しいことはありません。
トラストコーチングスクール認定コーチ
マザーズコーチングスクール認定マザーズティーチャー
中原絵里子
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