安全な場所から飛び出してみる

年末あたりまでに、異動希望の調査があった会社も

多かったのではないでしょうか。

皆さんがお勤めの会社は、どんな風に異動、配置換えの意思確認がありますか？

私は会社員の頃、勤めていた会社は手上げの制度が整っていたのですが、

実は一度も自分から異動希望を出したことはありませんでした。

入社して4年目になるころに1人目、

7年目に2人目、

13年目に3人目を妊娠し、

育休復帰は基本的に元の部署に戻るルールになっていたので

タイミングを逃した、ということもあります。

小さな子供がいると、いつ「呼び出し」があるかわからないし、

保護者会だの避難訓練だのPTAだので、平日に半休を取る必要がある

機会もちょこちょこある（そして子供の人数が増えるとその分倍増する）

ので、長くいる部署で顔なじみも多く、融通が利く環境がありがたい。

慣れた仕事の方が相場感があるから、スケジュールも把握しやすい。

そうするといつ仕事が忙しくなるか、土日出勤が必要になるかなど

予測しやすいから係りを引き受けるタイミングや夫との調整もしやすい。

どこに申請書があって誰に提出すればいいとか、

どこにマニュアルがあって、資料はどんな風にストックされているか、

みたいなローカルルールを把握している方が、無駄な時間のロスがなくていい。

みたいな、異動希望を出さないそれらしい「言い訳」をたくさんしてきましたが、

きっと一番の理由は、

「使えない自分を見たくない」

だったのだろうな、と思います。

大学・学部学科や資格、職業などの進路情報や、

高校生の学習上の課題や大学入試に関する知識など、

これまでストックしてきた知見や経験などが使えなくなって、

０から覚える必要がある。

物や資料の場所がわからなくて、いちいち聞かないと仕事が進められない。

キーパーソンがわからなくて、企画がうまく通らない。

そんな風にオロオロする自分なんて、かっこ悪い。

新しい環境で使えない自分なんて、価値がない。

そんな風に感じて、新しい環境に飛び出すことが恐怖でしかない。

子どもがいるから、ワーキングマザーだから仕方ない。

ワーキングマザーには、こういう仕事は無理、とあきらめていたところも

あったのかもしれません。

でも、今にして思えば、もったいなかったな、と思います。

環境変化は、大きな成長のチャンス。

脳は変化が大好物。アドレナリンが出て、慣れた環境に居続けるよりもずっと

素早く回転し、問いを立て、行動して確かめようとします。

私は、自分を守るためのいろんな言い訳をしながら、

成長のチャンスに飛び出そうとしなかった。

もちろん、子育てしていくうえで、エネルギーマネジメント上、

仕事は「守り」に入ったほうがいいタイミングがあることは事実です。

とりわけワーキングマザーは、5年、10年、20年というスパンで

働き方を考えることが重要なので、

「今はその時じゃない」という判断をすることはよいことだと思います。

ただ、「その時」が来ている時でさえ、気づいていないフリをしていたな・・・と思うわけです。

特に、社歴を積んできてそれなりのポジションを部内に築いてきた（つもり）、

いわゆる「ベテラン」領域に入ってくると、変にプライド的なものが出てきたりもして。

でも、

「ベテランなんだから数字にも感度高く、

顧客の課題や状況もすぐキャッチアップして

アイデアをどんどん出せなければならない」

「●年目にもなって人にすぐ聞いて回るのは恥ずかしい」

みたいな思い込みがあったんだろうなと思うと、

本当にもったいない。

前提を把握していないからこそ、数字の解釈の仕方のおかしさに

気付けたかもしれないし、

異動してきたばかりのベテラン（ちょっと圧がある・笑）に説明することで、

頭を整理することが出来た人がいたかもしれない。

自分だけじゃなく、周りの人のチャンスも失ったことになったのかもしれないから。

人と人は、組み合わせによっては面白い化学変化を起こすことがあります。

思いもよらないアイデアや発見があったり、

お互いにモチベーションを高めあえたりすることもある。

安心安全な環境から、時に思い切って飛び出してみることで、

自分や周りの人の大きな成長につながるかもしれません。

あなたがもし、2021年に安全地帯から飛び出すとしたら、

何に挑戦してみたいですか？

もし思いがけない異動や配置換えを言われたりしたら、

それは大きなチャンスかもしれませんよ。

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中原絵里子

編集・ライター・キャリアコーチ

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大手教育出版社に20年勤務後、独立。上阪徹ブックライティング塾9期生、トラストコーチングスクール認定コーチ。
東京在住、3児の母。 コーチングでは、主に働く女性のこれからの働き方を決めるサポートや、ライティングのサポート、挑戦したいことに向けた伴走を行っています。
ライティングでは、教育、勉強法、進路、働き方、コミュニケーションなどをテーマにインタビューや記事作成、ブックライティングを行っています。