前向きにあきらめる方法

ericoach1

あきらめることは、必ずしもネガティブなものとは限らない

そもそもあきらめるという言葉の辞書的な意味は「望んでも叶わないことがわかって望むのをやめる、思いを断ち切る」というものですが、

仏教的には、あきらめる=あからめる、つまり「つまびらかにする」「明らかにする」という意味があるそう。

つまり、物事の真理や道理を明らかにして、納得して手放すという行動。

そう考えると「望んでも叶わないこと」「思い通りにいかないこと」に対して、その背景にあるものや事情を確認したり想像したりして、
「なるほど、だからか」と思えれば、あきらめることもそんなに悪いことじゃないと感じませんか。

あきらめるためにやるべきことがあって、その一つが「知る」ことなんですね。

例えば、こちらのスーパー、日曜日は16時にはもう閉まってる。ちょっと出かけて帰り際に食料品を買い足そうと思っても、無理なんです。

「かき入れ時でしょ、なんで一番買い物したい時間に空いてないのよ」

なんてプンプンするのはこちらの都合。

でも、キリスト教では日曜日は礼拝の日で、かつてクロムウェルの時代のピューリタンは礼拝以外の行動を一切禁止されていたそう。
家事や公園で子どもが遊ぶことも罰せられたくらい「日曜は礼拝以外の行為をしてはならない」と厳格に定められていた時代の名残や影響が、もしかしたらあるのかもしれない(想像ですが)。

イギリスはごはんが美味しくないと言われるのにも、
野菜が育ちにくい土壌と天候の影響や、
産業革命による急激な都市化で伝統料理が継承されなくなったこと、
禁欲的なピューリタン時代を経て「ジェントルマンたるもの、暴飲暴食せず質素倹約につとめるべし」といった価値観や、
ライバル・フランスへの対抗心などから、イギリス料理というものが発達しなかった、といったような影響もあるようです。

そう考えたら、「まあしょうがないか」とあきらめやすいですよね。

これが正しい、かくあるべきにこだわりすぎるとしんどいし、正解はないから争いは終わらない。

だからまずは知る、つまり事情や背景をつまびらかにしようすること。

それからもう一つは、「あきらめたらそこで試合終了ですよ」をもう一段階ブレイクダウンして、

「自分は何の試合に立ってるんだっけ?」
「何をあきらめたら、何が終了するの?」
「それは、どうしても勝ちたい、勝たなきゃいけない試合なんだっけ?」

といったあたりをちょっと冷静に考えてみることも大事かな、と思います。

なんでもかんでもあきらめちゃだめ、と言ってるわけじゃない。

これは、「あきらめる」ことの対極にあるものの一つである「継続する」に対して、「続けられないことが全部悪なの?」という問いにもつながってくるんじゃないかと思います。

(この「継続する」ことについては、次の投稿で深堀しますね)

「前向きにあきらめる」ことは、これまでとまったく違う環境で生きていくために結構大事なスキル。

海外で暮らすこともそうですが、転職して会社が変わったり業界や職種が変わったり、
フルタイムで仕事をしていたけれど子どもが生まれて時短勤務になる、介護と両立させるといった働き方の変化もそう。

これまでの当たり前が180度変わったり、当然あるはずのものがなかったり、
これまで褒められたことをしたら叱られたり、
普通に出来ていたことができなくなったりすると、

なんで?どうしてできないの?と怒りさえ覚えたり、必死に抗ったり、絶望してもうドロップアウトしたくなったりすることもあるかもしれません。

でも、その大きな変化に適応してサバイブしていくためには、何をあきらめるかを見極めて前向きに手放すことで、少し生きやすくなるように感じています。

「出張に行けない」「カフェどころかトイレにさえ自由に行けない」「管理職への昇進は断らなきゃいけない」みたいなことは、果たして戦ってぜひとも勝ちたい「試合」なのか。

それとも、「ま、いっか。一生じゃないし」とか「それより大事なものもあるしね」「今の生活だから得られてるものもあるし」と流せることなのか。

絶対に負けられない試合ももちろんあるので、それはどうやって「あきらめずに済むか」を全力で模索して、周りの応援や協力も受けながら勝利をめざしてほしいです。

でも、売られたケンカに全部勝たなきゃいけないわけじゃないし、
(大谷翔平だってイチローだって、7割は打てないんだから)

そもそもこちらが勝手にケンカだと思い込んでるだけかもしれない。

あっちこっちにエネルギーをまき散らしていたら勝てるものも勝てない。
どの試合に集中するかを考えて、ほかを手放すことも大事なんですよね。

思い通りにならない時ほど、「まあ、しょうがない」をうまく使って、
しょうがなくない試合に全力でこだわってほしいなと思います。


海外生活なんて、思い通りにならないことやこれまでと勝手の違うことばっかり。
いちいち「なんで?」と怒っていたら疲れちゃいます。

不安な時はコーチなどの第三者もうまく使いながら、前向きにあきらめながら、ゆるく受け流していく姿勢を身に着けていきましょ。
いつでも手伝いますよ。

ABOUT ME
中原絵里子
中原絵里子
編集・ライター・キャリアコーチ
大手教育出版社に20年勤務後、独立。上阪徹ブックライティング塾9期生、トラストコーチングスクール認定コーチ。
東京在住、3児の母。 コーチングでは、主に働く女性のこれからの働き方を決めるサポートや、ライティングのサポート、挑戦したいことに向けた伴走を行っています。
ライティングでは、教育、勉強法、進路、働き方、コミュニケーションなどをテーマにインタビューや記事作成、ブックライティングを行っています。
記事URLをコピーしました