「書けない」のは技術が足りないのではなく
書くために必要なのは、技術じゃない。
あるに越したことはないけれど、もっと大事なのは「自分とつながること」だと思っています。
つまり、自分は何を書きたいのかがわかっていること。
わかっていないから書けていないだけで、見えれば書けるはずです。
そのためには、自分との対話は避けて通れません。
自分とのガチトーク。
それをやっていくうちに、「ああ、つまり自分はこれが書きたいんだな」とテーマがすとんと腑に落ちる瞬間がやってくるはず。
スーッと体の中を通り抜けたな、っていうか、見えた感覚があるというか(あいかわらずの感覚派・・・)。
これさえつかめれば、もうあとはそれを写し取っていけばいいですし、
他の人が読んだらどう感じるだろうかなんて、ほとんど気にならない。
自分の中を通り抜けていったアイツを追いかけるのに必死なはずだから。
ライティングコーチってどんなことをしてくれるんですか?と聞かれて、書くことに伴走しますと答えてきたんですが、
つまりはそういう、書くために必要な対話を一緒にしてきたんだなと気づきました。
書きたいことって、頭の中にある段階ではふよふよしていて、つかみどころがない。ふよふよ。
それを、話しながらろくろを回していくうちに、だんだん輪郭が見えてくるし、「これはいる」「これはいらない」「これはまあ、どっちでもいい」みたいな仕分けができます(重要)。
私がこれまでお話してきた方で、一発で「私が書きたかったのはこれだった!」と探り当てた方はいらっしゃらなくて、何度かお話していくうちに、ある時「あ、これかも」と気づかれることがほとんどです。
最初に「こういうことが書きたい」とおっしゃっていたテーマに近い場合もあるし、全然違ってた、というケースもある。
どちらのケースでも、「腑に落ちた」方に共通するのは、自分と対話する覚悟を決めたこと。
これかな、なんでこれを書きたいのかな、なにがきっかけだったんだっけ。これをだれに伝えたいんだろう。なんで。
こんな風に追いかけていくと、時には会いたくない自分がひょっこり出てくることもあります。
コンプレックスを思い出しちゃったり、えんえんと答えが出ないめんどくさいループだとわかっている場合もある。
でも「しゃあない、対話するか」と腹をくくって、ちゃんと考えて書き出して整理する。
そうすると、ある時「これか」と見つかることが多いと実感しています。
自分と話すことを、めんどくさがらない。
考えたことを、書き出して整理することを疎まない。
そこにいっしょに向き合うのがコーチングでいう「伴走」だと思っています。
いわば、書く前に行う、心の編集会議。
自分とつながるには、話すことと書くことがとっても有効で、
そのためにはちゃんと時間を取って、姿勢を正して、「さあやるよ」と決めることが大事だし、
もっと大事なのは問いかけて出てきた言葉を、ちゃんと受け取って考えること。上澄みで満足せずに、もう一歩潜ること。
心の中にあるものを手帳やノートに書き出すのも同じですよね。
カフェで自分と向き合って、自分の中にある言葉を外に出す作業は、自分とつながる行為。
何を書いていいのかわからない時ってだいたい自分との会話が足りていない場合が多いですが、
自分の声を聞いたり、自分のことを考える余裕がない場合もありますよね。仕事が忙しすぎるとか、今は子ども最優先でリソースが足りない、とか。
だからこそ、30分だけでも時間を意識的につくって「さあ今から考えるぞ」と決めないと、日常生活の延長線上で考えるのって難しいんですよねぇ。
そんなわけで、書けないのは自分と会話ができていないか、整理できていないかのどっちかであって、技術うんぬんじゃない。
何を書きたいのか自分の中をスーッと「通って」いれば、それをどんな言葉で表現するのかはたいした問題じゃないし、
書いちゃえば外野がより伝わりやすい表現にするためのアドバイスもできる。もう外に出ていて、見えてますからね。ふよふよしてない。
だから書けない時は、会話が足りていないんだと思って、ちょっとでもいいからそのための時間を取って、
「で、あなたは何が書きたいんだい?」と話しかけてみてください。
掘って、整理して、選んで、言葉にする。伝えるアイデアを出す。
書く前の編集会議、ぜひやってみてくださいね。
