ライティング

隣の芝生は青いけれど

ericoach1

TwitterやFacebookを見ていると、
ライターの方の発信もよく流れてきます。

「今日は3本書かないと!明日は取材だから」
「今月は28本書いた。頑張った自分を褒めたい」
「前から気になっていた経営者の書籍をお手伝いできることになって感激」

みたいに、とても忙しそうで、
でもやりたいことができていて充実した空気が伝わってきたりすると、

「この人の方が自分より活躍している…」
と、むやみに比べて落ち込みそうになったりしませんか?


貼ってあったリンクをうっかり踏んでしまって、
キレイにまとまった読みやすい文章で、
語彙力も背景知識も豊富なことが伝わってきたりすると、

「こんな人がいるなら、自分がライターなんてしなくても世の中間に合っているんじゃない?」

なんてやさぐれたくなったり(笑)

一方自分は、依頼は途切れ途切れ。

書いた原稿にはたくさん赤入れが入ってきたり、
インタビューした相手からダメ出しが出たり、
公開された記事に相当手を入れられていたり。

向いていないのかなあ、必要とされていないのかな…なんて落ち込んでしまったり。



何を隠そう、これ、私のことです(笑)


でもね。


華やかに活躍しているように見える世の中の第一線のライターでも、
世に出た原稿の第一稿は、編集者の赤字だらけだったかもしれない。

言葉の意味がわからなくて、必死で調べたり教えてもらったりして、
なんとか体裁を整えた結果なのかもしれない。

著名な方のインタビュー記事だって、何度も何度も断られて、
それでも企画を持ち込んで、ようやく実現したのかもしれないんですよね。


実際、このところやたらとあちこちで名前をお見かけするライターさんと
Twitterでつながることができて、うれしさと光栄のあまりに
普段はやらないダイレクトメッセージでご挨拶をしたんです。


読ませていただいた原稿が素晴らしかった、とお伝えしたところ、

「赤入れをたくさんもらって落ち込むことも、まだまだだなあと思うこともたくさんあります」

と言われていました。

ライター仲間のひとりは同じ理系ということもあって、勉強のためにその方の原稿を読んで「こんな人がもう活躍しているんだから、自分なんてライターになる必要はないんじゃないか」とこぼしていたくらい、専門性も技術も高いライターさんなのですが、

そんな方でも、落ち込んだり苦労したりしているんだよね・・・と、昨日のやりとりで改めて実感したんです。


別の尊敬するこの道20年以上のベテランライターさんも、いまだに原稿が真っ赤になることはしょっちゅうある。
媒体によって正解は違うから仕方のないことだとおっしゃっていました。

そう、ただ苦労を見せていないだけ。

恥ずかしい部分は隠しておきたいですよね。

Twitterのライターさんがやたらとすごく見えるのは、きっとそう見せているから。
見せていない部分があるから、とも言えます。

駆け出しだろうがベテランだろうが、苦しみながら、迷いながら、書いている。
その書いたものに厳しい赤字が入って落ち込むこともある。

そこからの違いは、それでも書くことをやめずに続けられるかどうか、なんだと思います。

頑張って書いていたら、ふとした時に「届いたんだ」と感じることができる時がある。
書いたことで、つながる縁がある。

その味を知ってしまうと、プライドなんてドブに捨ててしまえ、とさえ思える(いや赤字をもらった瞬間は心がポッキリ折れますが)。

だいたい、あいまいなものと比べても不毛なだけなんです。

比べている相手のことを何も知らないのに、見えている部分だけをあいまいに比較して勝手に落ち込んだり、ふてくされたりするのは、相手に対しても自分に対しても失礼なこと。

誰かと比べて落ち込む時のおまじないは、

「相手のことをどれだけ知ったうえで比べているんだ?」

この言葉を懐に携えて、これからも書いて生きていきたいなあと思っています。

ABOUT ME
中原絵里子
中原絵里子
編集・ライター・キャリアコーチ
大手教育出版社に20年勤務後、独立。上阪徹ブックライティング塾9期生、トラストコーチングスクール認定コーチ。
東京在住、3児の母。 コーチングでは、主に働く女性のこれからの働き方を決めるサポートや、ライティングのサポート、挑戦したいことに向けた伴走を行っています。
ライティングでは、教育、勉強法、進路、働き方、コミュニケーションなどをテーマにインタビューや記事作成、ブックライティングを行っています。
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