浅田真央座長の「Everlasthing33」に圧倒される理由

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やっと少しだけ、正常な呼吸と落ち着きを取り戻してきた。うん、脈も正常。



昨夜、私は今年の夢を一つ叶えてきた。
年が明けて、どうやら海外に引っ越すことになるらしいということがわかり、
それまでにやりたいことを手帳に書き出してみた。

その一つが「もう一度浅田真央さんのアイスショーをリアルで観たい」。
前作の「BEYOND」に心から感動し、
願わくばもう一度あの魂が洗われるような体験をしたいと、そっと手を合わせていた。

それが、昨夜立川でまさに実現したのだ。
浅田真央座長プレゼンツ、劇場型アイスショー「Everlasthing33」。
このタイトルには、「今しかできない挑戦を」という思いがこめられている。

舞台の幕が上がり、10名のスケーターが純白の衣装で半円型のステージに飛び出してきた瞬間、その中央に浅田真央さんの姿を認めた瞬間、みぞおちのあたりから熱いものがせり上がり、体中に鳥肌が立つのを感じた。

まただ。「BEYOND」の時も、開演と同時に涙が出てきた。
自分の「感動している状態」とはこういう感じか、というのを思い出す。
呼吸を忘れ、血が熱く逆流するような感じ。足は小刻みに震えている。


なぜ、彼女の滑る姿はこれほどまでに人を感動させ、涙をあふれさせるのか。


それはきっと、人生のすべてをかけて何かに打ち込む人の姿に、憧れてやまないからだろう。
浅田真央さんしかり、大谷翔平選手しかり、藤井聡太八冠しかり。

まさにすべてをかけてスケートに挑み、向き合い、昨日までの自分を超えて、今しかできないことに挑戦し続けている。


そして、フィギュアスケートを心から愛し、フィギュアスケートに愛されている。

その覚悟と情熱が伝わってくるから、心揺さぶられて涙し、それほどまでに命の炎を燃やしたことがない自分をほんの少し恥じながら、賞賛の拍手を送るのだろう。一夜明けても、まだ心の震えが止まらないほどだ。

今回の舞台は薔薇を中心とした、花のモチーフがあちこちに散りばめられていた。
宝塚歌劇団のレビューでの娘役と男役のような可憐な衣装と花篭もあれば、
ガーベラのような艶やかでエネルギッシュな花が舞うシーンもあれば、
絶望も希望も表現する一輪の薔薇も登場する。

「ウエストサイドストーリー」や「エデンの東」「ロミオとジュリエット」など、映画やミュージカルのワンシーンが次々と切り替わる。

アイスショーと舞台の大きな違いの一つは、スピードだ。
不安も哀しみも、喜びも時間の流れも、そのスピードの緩急で表現することができる。

狭いリンクの中を激しく動き回り、舞台の下で生演奏をされているオーケストラの皆さんの目の前でキュッと急停止。削れた氷の欠片が飛び散るのがうっすら見える(気がした)。

私がいたのは3階席の、一番端。
せり出しのせいで舞台の手前側2~3割は見えない。
でも、真央さんの背中の美しさ、肩から肩甲骨にかけて鍛え抜かれた筋肉の美しさを存分に感じることができた。どれだけフィギュアスケートに打ち込んできたのかを雄弁に物語る、あまりにもカッコいい背中。
すみれ色やピンク、純白の衣装で可憐な曲を踊っている時も、その艶と凄みは隠しきれていない。

3階席までそのオーラはまばゆいほど飛んできて、座長としての覚悟や、風格に圧倒されっぱなし。これが集大成といっても過言ではないほどの完成度だった。
ここまでストイックに作り上げてしまったら、次はどうするんだろう。でもきっと、また軽やかに超えていくんだろうな。

私はフィギュアスケートという競技のことも、音楽についても、舞台や映画についても全然詳しくはない。何度見てもジャンプの種類の見分けがつかないし、ピアノだって猫ふんじゃったさえ弾けない。
有名なクラッシックの名曲も、曲名も作曲家もわからないものがほとんどだ。


取材の時は入念に下調べをしていくけれど、今回はまったく前情報も入れず(入れなさ過ぎて間違えて前回と同じ立飛アリーナに向かってしまったくらい)、完全な丸腰。

それでも、こんなにも揺さぶられ、胸が熱くなる。チームワークの良さと観客への細やかな気遣い、この舞台にかける思いの強さが自然と伝わってきた。


浅田真央は、深い感動を通して私たちに問いかける。

「自分は何を超えられるんだろう」
「自分にとっての今しかできない挑戦は何だろう」
「自分が人生すべてをかけてやり切りたい、成し遂げたいことは何だろう」

そう考えさせる。

何かに打ち込んでいるか、何かを大切にしているか。
何をもって「生きていてよかった」と人生に感謝するのか。

その問いの大きさ、強さに圧倒されるのだ。

そう気づいてしまうと少し怖い気もするけれど、ロンドンから戻ったらまた必ず観に行きたい。今度は、彼女の息遣いを感じられるほど近い席で。
惜しみなく課金できるように、仕事もがんばろう。
あんなにシャープな背中をめざすのは無理だけれど、肩甲骨体操と股関節のストレッチくらいはしておこう。

そして、これを超える感動を目の当たりにしても、なんとか自分なりの表現で伝えられるように、言葉を磨いておこう。

#Everlasthing33 #浅田真央 #エバラス

<お知らせ>

6月下旬から2年間ロンドンに移住します。
Wi-Fi環境などが整うであろう7月からライティング・編集・コーチングの仕事を再開しますので、オンラインでのセッション、取材も含めてお気軽にお問い合わせください。

ABOUT ME
中原絵里子
中原絵里子
編集・ライター・キャリアコーチ
大手教育出版社に20年勤務後、独立。上阪徹ブックライティング塾9期生、トラストコーチングスクール認定コーチ。
東京在住、3児の母。 コーチングでは、主に働く女性のこれからの働き方を決めるサポートや、ライティングのサポート、挑戦したいことに向けた伴走を行っています。
ライティングでは、教育、勉強法、進路、働き方、コミュニケーションなどをテーマにインタビューや記事作成、ブックライティングを行っています。
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