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とても前向きな「まあしょうがない」

ericoach1

ロンドンで食材や日用品などを買いに行くと、レジに行列ができていることが結構あります。

7,8人並んでいるのに、開いているレジは一つだけで他の店員は荷出ししてる、みたいなことも。

日本ならあわてて館内放送してレジ応援を頼むところなのに、そんな様子は見たことがありません。


それに客の方も、後ろにいっぱい並んでいようがおかまいなしで、「このクーポンコードは反映されているのか確認して」「同じ商品なのに割引率が違うのはなぜ?」など堂々と主張して、確認してもらったりしています。

「他の人を待たせて申し訳ない」という発想は、どうやらない様子。

「購入するという行動を選択したのはあなたなのだから、自己責任で並んでください」という思想なようです。

また、先日イギリスで働いている方と話した時に、

「イギリスでは5%でもできる可能性があれば大丈夫できます、と請け負う。
それでやっぱりできなくて、『間に合わなかったから遅らせて』と言ってくる」

という話を聞いて、驚きました。

夫に聞いても、「上司へのレビューやプレゼン当日に『間に合わなかったから日にちをずらしてほしい』と悪びれずに言ってくる」と話していて、どうやら本当らしい。

約束って絶対守るものじゃないの??

間に合わないから残業するとか、持ち帰って徹夜でつくる、みたいな発想はまるっきりないみたいです。

なぜそれで仕事が回るんだろう。。
日本人が

なんというか、こちらで暮らしていると、どんなことに対しても「まあしょうがないよね」という素早いあきらめを感じることがあります。

「レジが混んでいる」「頼んだ仕事が間に合わなかった」みたいな事実に対して、「クレームをつける」「なんとかしようとごねる」発想じゃなくて、
「まあしょうがない」「そういうもんだよね」と受け止める、みたいな感じ。

こういう前提の違いって、とても興味深い。
「当たり前」をひっくり返されて、これまで見ていなかったものが目に飛び込んでくる感じ。

これってどういう背景から来ているんだろう。宗教?文化?教育?


私の推測では、少なからずイギリスのお天気が関係があるんじゃないかと思っています。

イギリスはとても雨が多く、秋以降は日照時間が短く夜が長い。
11月にもなると夕方4時にはもう真っ暗で、朝7時台後半でギリギリ日が昇っているかどうかなのだそう。

そういった、自然を相手にした「どうしようもないこと」がしょっしゅうあると、「まあしょうがないよね」というメンタリティになりやすいのでは、と推測しています。

そしてこの「まあしょうがない」をうまく使いこなせるようになると、人生がもっと楽になるんじゃないかと思っています。

役所の対応が不親切でたらい回しされても、
道端で困っていてもだれも助けてくれなくても、
道路が舗装されていなくてでこぼこでも、

「まあしょうがないよね」「そういうもんだ」といったん受け入れてみる。あくまで前向きに。


で、次に自分はどうしたいのかを考える。

行列に並ぶのか、買うのをやめるのか。
自分でなんとかするのか、助けを求めるのか。
でこぼこ道を歩くのか、電車にするのか。


選ぶのは自由で、自分次第。

あくまで自己責任だし、自分の意思で決めたことであって、当たり前のように自然に与えられるものではない、能動的な判断なわけです。

だから私もイギリス人を見習って、
「まあしょうがないよね」という言葉を、後ろ向きなあきらめじゃなく、

前提が違うことを受け入れて、自分で意思決定するために使うポジティブな言葉として使っていこうと思っています。

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ABOUT ME
中原絵里子
中原絵里子
編集・ライター・キャリアコーチ
大手教育出版社に20年勤務後、独立。上阪徹ブックライティング塾9期生、トラストコーチングスクール認定コーチ。
東京在住、3児の母。 コーチングでは、主に働く女性のこれからの働き方を決めるサポートや、ライティングのサポート、挑戦したいことに向けた伴走を行っています。
ライティングでは、教育、勉強法、進路、働き方、コミュニケーションなどをテーマにインタビューや記事作成、ブックライティングを行っています。
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