ライティング

「書きたい!」と思うようなドラマがないから書けない。でも実は足りないのは出来事じゃなくて

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多くの人に読んでもらう投稿を書くには(つまりバズるには)、「心の底から書きたい、伝えたいと思うことを書けばいい」という言説がある。それはそう。

でも、そんな日常的に激しく心を揺さぶられる出来事なんて、そうそう起こらない。
さらにやっかいなのは、「出来事」はあるのに、書きたい!と思わない時。

私は今日、友人のお誘いで人生初めての、ラクサを食べた。ロンドンで一番美味しいお店と評判のタイ料理屋さんで。
食後にお茶をしながら話していて、価値観が違うなぁとモヤモヤしたこともあった。
ずっとヤキモキ待っていた、書籍の原稿の著者チェックが戻ってきた

つまり、「出来事」はあった。
でも、それを腹の底から「これを書かなければ!」とは思っていない。
そっちの方が問題なんじゃないか?と思うわけです。

つまり新しい出来事や、モヤモヤすることがあっても「書きたい」と思うほどに自分の心が動いていないんじゃないか
感受性やら心の反射神経やらが鈍っているんじゃないか
ハートも頭もカチカチになっているんじゃないか。

なんなら私は今ロンドンに住むという、人生の「非日常」を経験しているわけで。
東京の自宅で生活しているよりは、刺激や発見は圧倒的に多いはずなんです。
それこそ電車に乗っているだけでも、何か見つけることはできるはず。

でも、そんな衝動にかられることはまれで、ついぼんやりと流してしまっている。
目の前で起きているドラマや事件を、そうと知っていてもどんどん取りこぼしていってる。
それじゃいけないとわかっていても、頭や体が思うように動いてくれない。拾ってくれない。

考えようとしてもうまく頭が働いてくれない、マミーブレイン的なものなんじゃないか。最後に産んだ子、もう14歳だけど
あるいは、心を乱される煩わしさを避けることを、無意識にも優先させているんじゃないか…。

それって大問題ですよね、書き手として。それで焦ったり不安になったりしているのが実態なのだと思います。

もし自分の中で言語化できていれば、実際には書いていなくてもこんな風に焦ったり不安になったりすることはないはず。

「発信できていない」ことよりも、「これを書こう」というレベルまで昇華できていなこと、しようとしていない己の怠慢が問題なんです。

でもね。

実際は、きっと出来事から何もキャッチできていないわけじゃなくて、そのために必要なプロセスを踏んでいないんですよ。

今日の「出来事」を一度テーブルに並べて、「観察」して「分析」したり「整理」したり、といったプロセスを経てないから、「材料」のまま置きっぱなしになってるだけ。

あの言葉になんで私はモヤモヤしたんだろう? どこに引っかかったんだろう?
根っこにどんな決めつけやジャッジがあるんだろう。どんな自分の価値観を守ろうとした「反応」なんだろう。
本当はどうしたいんだろう、あるいはこの状況で自分が子どもの時には何と言ってほしかったんだろう。

みたいなことを考えて、整理する。

実はそれには書くことがとても効果的なんですよね。
思考だと浮かんではすぐ消えちゃったりしますが、書くとちょっと客観的に見れるので、深く進めたり、めいっぱい広げて収束させたりと扱いやすくなるから。

そんなわけで、書きたいネタがない、だから自分の人生は退屈でつまらないものだってことではないし(まだ素材のままなだけ)、心が老化しているわけでもない。

サボってるだけ。

ちゃんと「考える」ことをするようになれば、だんだん慣れてきてスピードが上がったり、複雑なこともちゃんと処理してシンプル化できたり、納得感が上がってきたりする。つまり考える精度が上がってきます。
アタマの運動不足解消には、継続的に動かすのが一番。

ネタがない、じゃなくて、ネタになるまで観察して分析して考えることを怠らない。

肝に銘じたいと思います。言い訳禁止。

ちなみにこの記事は「書きたい!」と心から思ったから書いています。
つまりラクサより優先度の高いトピックがあるから他が沈んだだけ、とも言えますね。

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ABOUT ME
中原絵里子
中原絵里子
編集・ライター・ライティングコーチ
ベネッセコーポレーションに20年勤務後、独立。上阪徹ブックライティング塾9期生、トラストコーチングスクールにてコーチング資格を取得。 現在ロンドン在住、3児の母。 コーチングでは、主に働く女性のこれからの働き方を決めるサポートや、ライティングのサポート、挑戦したいことに向けた伴走を行っています。 ライティングでは、教育、勉強法、キャリア、働き方、コミュニケーションなどをテーマにインタビュー記事作成や、ブックライティングを行っています。
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